作詞家になりたくて

歌になりたがっている詞があります。 
言葉たちが一瞬でも輝やいてくれますように!

只見つづりの「北海道弁講座」*20

「まて」

「ゆるくない」

「よっこする」

「わや」


「まて」「まてい」
<待て>ではありません。
「真丁」漢字で書くとたぶんこうなるのでしょう。丁寧に、良く気が付いて、とてもまめに、という意味で使われます。
もしかして、「まめ」からきているのかもしれません。「まめ」は忠実に、とか真面目にとか丁寧にという意味でも使われますね。
「真実」まみ、と読みますがこれが転訛して「まめ」になったのですが、さらに変化して「まて」になったのでしょうか。
又は「真手」がルーツという説も。
「真手」とは両手、諸手という意味です。
両手を使いものを受け取る様子が、大事に、丁寧に映るから、とも。
「あの人の仕事はまてで、感心するな」
「隣のおじさん、まてに雪かきして自分ちの前はなまら綺麗だべさ」
「あいつは、なまら女にまてだから、もてるべや」
などと言う。
「あの人はまてだね」
と言うと、とても礼儀正しくて几帳面な人だねと言う意味になる。
「この模型はまてに作ってるな」
とても精密にしっかりと作られているな、となる。


「ゆるくない」
「緩くない」←緩くはない←きつい・きびしい。
きびしい、辛い、きついと言ってしまえばそれでいいのでしょうが、道産子は婉曲に「ゆるくないわ」といいます。
松さん「もう、三日も雪降って、雪かきも緩くないわ。」
竹さん「なまら降ったな。ゆるくねぇべさ」
梅さん「桜さん、出面さんに行ってんだって?大根の選別だって?ゆるくないべさ。」
桜さん「なんもさ~畑仕事は若いころからやってるしょ。」
辛い、厳しい、大変、きついなどと言ってしまえばそれでいいのに、「ゆるくない」とほんの少しの余裕をもたせて、まだ我慢できるぞ、もう少し辛抱できるぞ、と忍耐強く言うのです。
ちょっと健気だぞ、道産子。


「よっこする」
お風呂に入ったら、よくこする、ではない。
(笑)
横にとりあえず置いておく、とりあえず横に寄せておく、と言う意味で使います。
「好きなものは最後に食べるから、よっこしておくのさ。」
「生まれたメダカの中から元気な稚魚だけ、このバケツによっこするんだよ。」
「いっぱいあるから、一つくらいよっこしてもばれんべさ。」
なんてね。
標準語で「取っておく」「脇にどける」「くすねる」という言葉に「ほんの少し」「ちょっとだけ」と言うニュアンスを含ませると「よっこする」になります。


「わや」
関西で「わや」と言いますね。
「最近忙しくて、疲れてわやださ。」
「急いで走ってきたから、鞄の中がわやになったわ。」
「あいつなら、花見で酔っぱらって、わやだ。」
北海道弁にするかどうか、悩んだ末に、やっぱり紹介することに。
「なまら」と「わや」はよく使うので。
関西から言葉が運ばれてきました。
「北前船」
物も運ばれてきたけれど言葉も同様に伝わってきました。
関西で「なんぼ?」(いくら?)
やっぱり北海道でも「なんぼ?」と、言います。「わや」も同じ。意味も同じ。
「わやくちゃ」の「わや」。
「なまら」と「わや」がくっついて「なまら、わや」なんていう人もいる。最上級の「わや」でしょうか。


さて、北海道弁講座も今回が最後となります。ながながとお付き合いくださいましてありがとうございます。言葉は時代と共に移り変わっていきますが、残しておきたい言葉もあります。文字にすることで、少しでも留めておくことができると思います。
北海道は広く、海沿いの町や、山側の町では使う言葉も違い、道南、道央、道北、道東では違う言葉が話されます。そこがまた魅力です。全体的に眺めてみると、おおらかな気質、思いやりにあふれているように感じます。いつまでも変わらぬやさしさを持ち続けていてほしいと思います。

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