作詞家になりたくて

歌になりたがっている詞があります。 
言葉たちが一瞬でも輝やいてくれますように!

只見つづりの「北海道弁講座」*5「あずる」「いいふりこきのがんべたかり」

「あずる」「いいふりこきのがんべたかり」
今回はふたつ、いっぺんに。
まずは「あずる」
車のタイヤが空回り、泥んこ道の轍にはまって動かない状態。
冬道は特にこんなことが頻繁にあります。
ちょっとした坂道、凍結した路面、車のタイヤが空回り。2月御終わり、または3月のはじめ、雪が解けはじめ、道はざくざくとして、ぬかるんでいる。マンホールの大きな穴にはまって動けない。
「いや、参ったわ、駐車場から出ようとしたら、車があずって、動けんくなったさ、ちょびっと手ぇ貸して。」
と、呼ばれる。何人かで車を押して動かそうとしていると、そういうときに限って反対側から車が来たりして。でもその車の運転手さんも中まで入らず途中で車を置いて飛んでくる。
「押しましょうか?」
「頼むわ~」
となって、みんなで車を押す。時々そんな光景が見られます。車には、ヘルパーとシャベルは必需品。ヘルパーはタイヤのサイズぐらいの巾で、長さは70~80センチ。5センチほど勾配が付いた三角形でタイヤと泥んこの地面に差し込んで空回りしないようにする器具。昔は鉄製だったけど今は軽くて丈夫なプラスチック製品ができています。
「あずる」は「焦る」がなまった言葉だとか。わかるわ~。タイヤが空回りして動かなくなったら、なまら焦る。
北海道はやっぱり四駆だわ。
物事がなかなかうまくいかないときにも「あずる」って使ったりする。手こずるという意味で使います。
松さん「悪いけど、少し帰り遅れるから。最後のお客さんのストーブ修理があずって、まだ時間かかるのさ。」
竹さん「なんも、いいよ。しっかり、やってきて。気ぃ付けて帰ってこい。」
松さんはストーブの修理屋さん。
竹さんはその同僚。いい会社だわ。
四国とか中国地方でもこの「あずる」が使われているらしいと、耳にしました。


さて、次は問題の「いいふりこきのがんべたかり」
前に「なまずるい」のところで少し触れました。いけ好かない最低最悪の人を揶揄する言葉。
「いいふりこき」は「いいかっこしい」「かっこつけ過ぎ」「見栄っ張り」ですね。
梅さんの息子、多感な16歳の桐君。桐君はコートも着ないで学ランだけで通学して見事に風邪をひきました。すると、梅さんはすかさず言います。
梅さん「ほれ、みなさい。この寒いのに、いいふりこいてそんな薄着で歩くから、風邪ひくんだわ。はんかくさい。」
その他にも、ちょっと車の運転に自信がある人が、右に左に追い越して飛ばしていった先に、路肩に落ちて事故っていたりするのを見て「ほら、いいふりこいてスピード出すから。罰当たったんだわ。はんかくさいな。」
問題は「がんべたかり」
「がんべ」は「雁皮(がんぴ)」の樹皮からきていると思われますが、北海道では白樺の木の樹皮を「がんび」と呼びました。(昔薪ストーブの焚き付けにした)それによく似た、頭にできたできもののかさぶたを「がんべ」と言います。傷口がふさがり膿が固まってかさぶたになって樹皮のような状態。それが塊になって、虫がたかるように集まっている状態を「がんべたかり」
見るも無残。お岩さんのような、醜い、眼をそらしたくなるようなひどい有様。
なので、「いいふりこきのがんべたかり」はどうにもならない見栄っ張りでかっこつけ過ぎて鼻持ちならないみったくなしな、ひどいやつ。(そこまで言われちゃ立つ瀬がない)
まあ、本気でその言葉を言うことはないでしょう。(しかし、最近は、いるいる。がんべたかりな奴らめ。多いわ。)
冗談めかして仲間内の世間話で言ったりする。(本当に親しい友人同士で)
石狩さん「ゆうべも、ススキノに行って飲んできたわ。」
十勝さん「お前だら、いいふりこいて、このがんべたかりめ。たまには俺にもおごれや。」
なんてね。


それでは恒例になりました。
まずは「あずる」で、「車があずって、うごけんくなったさ」ご一緒に。
「車があずって、動けんくなったさ。」
はい、良くできました。
次は「この、いいふりこきのがんべたかり。」
ご一緒に。「この、いいふりこきのがんべたかり。」


ありがとうございました。
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