作詞家になりたくて

歌になりたがっている詞があります。 
言葉たちが一瞬でも輝やいてくれますように!

只見つづりの「北海道弁講座」*17

「しばれる」「~しょ」「~しょや」「したら」「したから」「したっけ」「したけど」「したって」

まずは「しばれる」
「凍れる」
厳しい寒さ、ひどく寒い温度、水が凍るような寒さ。東北地方でも使われる。
千昌夫「味噌汁の歌」冒頭の台詞
「しばれるねぇ、冬は寒いから味噌汁が美味いんだよねぇ。」


ルーツは「凍」はしみるとも言うので、「凍み腫れる」からしばれるになったとか、寒くて体が「縛られる」ほどなので、しばれるになったとか、「柴」が割れるほどの寒さなので「柴割れる」からしばれるになった、とも。
日本での最低気温で第一位は(公式な記録)旭川市の1902年1月25日のマイナス41℃だそうです。
これだと、柴も割れるわ。寒いね。息も凍る。何時間も外に入られない。凍傷になる。


「今夜もしばれるね。水道は落として寝ないとだめだべさ。」
水道を落とす?
水道の元栓を止めておかないと水道管は凍りついて水が出ない。あとが大変。水道屋さんを呼んで解凍してもらわないと。昔はお湯かけて溶かしていた。
今は電気を通していたり、改善されている。家の状態も気密性が良くなってあったかいから頻繁に凍ることはないのですが。
それでも旅行で家を空けたりするときは水を落とさないと、心配だわ。何日か留守にするときはトイレの水も氷るので不凍液を入れておくのです。


さて、次に「~しょ。」などの語尾について。
以前に少し書きましたが、ここで詳しく。
「べさ」「だべさ」と最後につけるのは前にかきました。今日は「~しょ」「~しょや」


楓ちゃん「ただいま~おかあさん、お腹空いた。」
桜母さん「あら、楓、お帰り。もう少しでごしょ芋、ゆでらさるから、食べればいっしょ。手、洗ってきなさい。」
楓「は~い。ね、塩辛なかった?」
桜「あら、昨日父さんが全部食べたっしょ。」
楓「え~私も食べたかったしょや。」
桜「仕方ないっしょや。食っちまったもんは。」
楓「ね、お母さん、バターもないっしょ。」
桜「あら~もう、お父さんったら。何もかんも食っちまって。ちょっと、楓、3丁目のセコマまで行って、バター買ってきて。おつりはお駄賃にしてやるから。」
楓「え~今帰ってきたところなのに。お母さんが行けばいいっしょ。」
桜「もうすぐ煮えるんだから、行けないっしょや。悪いけどひとっ走りしてきて。」
楓「もう、しょうがないな~。」


母と娘の会話でした。
「~でしょう」と言う標準語の接尾語の「で」と「う」が取れて「しょ」だけになってしまいました。「~しょや」はもっと強調したい時に使います。北海道弁では語尾をさげて話します。


接尾語では「~さ」も使いますね。主に女性が良く使います。
梅「さっき、スーパーで卵が安かったから買ったさ。」
桜「ほんと~なんぼしたのさ。」
梅「1パック100円だったさ。」
桜「ほんとかい。私も行こう。」
梅「それがさ、タイムサービスで2時間限定だったのさ。」
桜「もう終わったのかい?いや、悔しいっしょや。」
梅「おひとりさま2パックまでだったから、2パック買ったさ。一つあんたにあげるわ。」
桜「え、いいの?うれしいわ~」
梅「なんもさ。お互いさまっしょ。」
桜「したら、私が買ってきた大根、あげるわ。これも1本100円だったさ。」
梅「悪いわね~。」


主婦の会話。道端で繰り広げられる井戸端なんとか。このあと、子供のこととか、町内会の誰かの噂話やらが始まる。
沖縄でも「~さぁ」と言いますね。同じ。
日本の北と南でさぁさぁ言ってるわ。


今回はもう少しお付き合いください。
「したら」「したっけ」「したから」「したけど」「したって」
これは接続詞。
「したら」「したっけ」は「そうしたら」
「したから」は「だから」
「したけど」は「だけど」
「したって」は「だって」
いろいろあって、ややこしい。


「昨日のスノーボードの平野選手の決勝の競技、見たかい?」
「あ、見るの忘れてたわ。」
「したから、今日あるからって帰りに言ってたべさ。」
「したって、宿題やってたべや。」
「したら、俺、録画したから見せちゃるか?」
「したけど、今日はカーリングがあるべや。」
「したっけ、明後日見るか。」
「見る。平野歩夢、クールでカッコイイもな。」
「したら、あさって、お前んち行くから、見せてくれよな。」


男子中学生二人の会話でした。


昔、帰る時「バイバイ」の代わりに「したっけ」とか「したっけね」とか言って別れるのが流行っていました。今の子供たちは言わないね。
普通に、じゃあね、って帰る。
はやりすたれ、あるからね。


これらの会話は少し大げさに書いています。今は北海道でもこんなにこてこてに使わないのが現実。すっかり標準語。たまに「なまら」が会話の中に入ってくるぐらいでしょうね。


時代の流れを感じます。
少しでも方言が暖かくていいよね、と思ってくれると、うれしい限りです。


それではRepeat after me.
『今夜もしばれるね。寒かったしょ。今夜はシチュー作ったのさ。したから、いっぱい食べればいっしょ。』
「今夜もしばれるね。寒かったしょ。今夜はシチュー作ったのさ。したから、いっぱい食べればいっしょ。」
ありがとございました。


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