作詞家になりたくて

歌になりたがっている詞があります。 
言葉たちが一瞬でも輝やいてくれますように!

「手のひらの音符」藤岡陽子著

読書記録の2回目。
前回は「大事なことほど小声でささやく」(森沢明夫)でした。
今回は藤岡陽子著「手のひらの音符」


新潮社の紹介文はこちら。
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デザイナーの水樹は、自社が服飾業から撤退することを知らされる。45歳独身、何より愛してきた仕事なのに……。途方に暮れる水樹のもとに中高の同級生・憲吾から、恩師の入院を知らせる電話が。お見舞いへと帰省する最中、懐かしい記憶が甦る。幼馴染の三兄弟、とりわけ、思い合っていた信也のこと。〈あの頃〉が、水樹に新たな力を与えてくれる――。人生に迷うすべての人に贈る物語!
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本の帯のキャッチコピーにつられて購入しました。


主人公は45歳の独身で服飾メーカーのデザイナーをしている瀬尾水樹。しかし、会社は廃業し、別な事業をしようとしているため、仕事を失うことになります。必死で頑張ってきた仕事なのに、どうする?
まあ、ありがちなお仕事小説ですか、と思いましたが、物語は過去へ遡り、水樹の子供時代の記憶が語られます。その記憶を呼び戻すきっかけとなったのは、高校の同級生だった堂林憲吾からの電話でした。当時の担任の先生が入院しているので、同級生に連絡をしているということでした。水樹の高校は京都。競輪場の近くの団地に住んでいました。
同じ団地に住む幼馴染の森嶋信也は同級生で、森嶋家の男ばかり三兄弟の次男でした。
高校時代のいじめも、信也がいたから乗り越えることができました。でも、デザイナーになる夢のために、上京し、ひそかな恋をあきらめた水樹。夢と恋は同時に叶うことはないのでしょうか?
水樹の新たな扉が開かれようとしています。


単なるお仕事小説ではありませんでした。
どちらかと言うと恋愛小説でしょうか。
関西の人は、京都の競輪場、と聞けば「ああ、あそこらへんか」と思うでしょうね。北海道人の私にとっては想像の世界ですが、一度だけ神戸空港から京都へ向かうのに阪急電鉄に乗ったことがあります。その時に車窓からの風景を眺めていました。多分競輪場の近くを通ったような記憶があります。
この小説に出てくる風景を、あの時の車窓の風景と重ねながら読んでいました。
京都はいいですね。何か、いにしえの静かな空気が漂っています。
話が逸れました。
「手のひらの音符」と言うタイトルは水樹と信也のほほえましいエピソードから。
手先の器用だった水樹が信也のために刺繍した音符の模様から、つけられました。
森嶋信也の弟は発達障害だったこと。同級生の堂林憲吾の秘密。そして、リストラの憂き目を見た水樹の今後。一気に読めました。
つらい過去を経験してきたからこそ、見えてくるものがあります。
ラストは、つい力が入るほど、彼女の未来を応援したくなります。40代のまだまだこれからの人たちに(私から見たら)読んでもらいたいですね。
それではまた。

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